最近、X(旧Twitter)で「退去立会は法的に不要」という投稿をよく見かけます。
これは法律上はその通りです。退去立会をしなかったからといって、それだけで借主が違法になるわけではありません。
しかし、不動産を所有・管理する立場からすると、「だから退去立会をしない方がいい」という結論には賛成できません。
実際に以前、私の物件でも「退去立会はしません」という借主がいました。
その経験も踏まえて、今回は「法的に不要」と「実務上やらない方が得」は全く別の話であることを書いてみたいと思います。
退去立会は「最後の言い分の場」
退去立会の目的は、部屋の傷や汚れを確認することだけではありません。
本当の目的は、借主と貸主がお互いの認識をすり合わせることです。
例えば、
- この傷は入居時からあった
- この設備は以前から壊れていた
- この汚れは通常使用の範囲ではないか
といったことを、その場で実際に部屋を見ながら話し合うことができます。
後日、写真だけを見ながら「そんな傷はなかった」「いや、あった」とやり取りをするよりも、その場で確認した方がはるかに建設的です。
借主にとっても、自分の意見を直接伝えられる最後の機会になります。
「法的に不要」と「やらない方が得」は違う
法律上、退去立会は義務ではありません。
しかし、「義務ではない」と「やらない方が得」は全く別の話です。
私は物件を自社管理しており、借主とは直接やり取りをしています。その立場からすると、退去立会は借主・貸主双方にとって、お互いの認識を合わせる非常に重要な機会です。
原状回復について疑問があれば、その場で部屋を見ながら確認できます。
一方で、立会をしなければ、後日写真や書類だけで話を進めることになり、「本当にその請求は妥当なのか」「その傷は以前からあったのではないか」といった認識のズレが生じやすくなります。
借主の立場から見ても、退去立会は自分を守るための機会です。
「ぼられたくない」「後から納得できない請求を受けたくない」と思うのであれば、むしろ積極的に立ち会うことをおすすめします。
まとめ
退去立会は法律上の義務ではありません。
しかし、実務では借主・貸主双方にとって大きなメリットがあります。
特に借主にとっては、自分の主張を直接伝えられる最後の機会でもあります。
SNSでは「法的に不要」という情報だけが一人歩きしがちですが、それだけを理由に退去立会を断るのは、かえって自分に不利になる可能性があります。
法律上のルールと、実務で自分を守る方法は必ずしも同じではありません。
だからこそ私は、退去立会には一度しっかり参加し、その場で納得いくまで確認することをおすすめします。
