2020年以降だけを見ても、銀行や信用金庫の不祥事は後を絶ちません。(以下信金のみ)
| 公表年 | 信用金庫 | 内容 | 金額 | 処分・対応 | 備考 | ソース |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2020 | おかやま信用金庫 | 元職員が顧客から金銭を借り受け、知人女性への貸付や顧客への貸付媒介を実施。出資法上の「浮貸し」。 | 500万円 | 公表・監督官庁へ届出 | 実損0円。横領型ではなく浮貸し・不適切貸付媒介。 | 「不祥事件発生についてのお詫び」 |
| 2021 | 鹿児島信用金庫 | 田上支店の元職員が、顧客から預かった現金を入金せず着服・流用。 | 690.5万円 | 2021/4/2懲戒解雇、監督当局へ届出、警察通報 | 公式公表あり。 | 「不祥事件発生のお知らせとお詫び」 |
| 2021 | 鹿児島信用金庫 | 湯之元支店の営業役席職員が、顧客預金を解約するなどして着服・流用。 | 金額は公式本文で要精査(報道では約1.59億円) | 公表、全店調査へ | 後に追加報告あり。 | 「当金庫職員による不祥事件について」 |
| 2021 | 鹿児島信用金庫 | 上記不祥事件を受けた追加報告。全店調査の結果、追加事案を公表。 | ― | 追加開示 | 2021年事件の追加開示。 | 「不祥事件に関する追加報告について」 |
| 2021 | 室蘭信用金庫 | 元職員が顧客の通帳・キャッシュカードを預かり無断払戻し。別顧客から預かった登記費用の着服も含む。 | 約628万円 | 2021/7/15懲戒解雇 | 全額弁済のため刑事告訴はしない方針と報道。 | 北海道ニュースUHB報道(YouTube) |
| 2022 | 天草信用金庫 | 元職員による不祥事件の発生を公表。 | 不明 | 公表 | 今回確認できた範囲では金額・手口の詳細未確定。 | 天草信用金庫「不祥事件の発生について」 |
| 2022 | 鹿児島相互信用金庫 | 「不祥事件の発覚について」と、併せて「預金口座に関する申込書等及び伝票綴りの紛失について」も公表。 | 不明 | 公表 | 不祥事件の態様・金額は今回の取得範囲では未確定。 | 鹿児島相互信用金庫 2022年重要なお知らせ一覧 |
| 2022 | 播州信用金庫 | 本部勤務職員が、顧客から金員を預かりながら定期預金への預入処理をせず、偽造した定期預金証書を交付。 | 少なくとも約3,400万円相当の偽造証書交付が確認可 | 2022/6/1懲戒解雇、監督官庁へ届出 | 2022年案件の中ではかなり重い。 | 2022/6/2「不祥事件の発生について」 |
| 2022 | 釧路信用金庫 | 元職員がATM不正操作等で現金を着服。 | 約9,700万円 | 懲戒解雇等 | 巨額案件。 | HBCニュース報道(YouTube) |
| 2022 | 中日信用金庫 | 元職員が過去勤務時に顧客預金を無断解約し着服していたことが判明。 | 752万円 | 懲戒解雇、被害は弁済 | 現時点では二次情報中心。 | 中日信用金庫案件まとめ記事 |
| 2022 | 碧海信用金庫 | 元職員が顧客から預かった現金を横領。 | 約804万円 | 公表・処分 | 現時点では二次情報中心。 | 碧海信用金庫案件まとめ記事 |
| 2022 | 島根中央信用金庫 | 元職員が顧客資金を着服。 | 約350万円 | 公表・処分 | ― | (安定したリンクを確保できない為、ソース保留) |
| 2022 | 敦賀信用金庫 | ATM取引データ約2.5万件入りCD紛失。氏名 ,口座番号,取引金額,残高,防犯カメラ映像等があったとされる。 | ― | 公表・調査 | 横領ではなく重大情報管理事故。 | ScanNetSecurity報道 |
| 2023 | 福岡ひびき信用金庫 | 元職員が普通預金6先・定期積金23先から現金を着服。 | 333万3,420円 | 2022/12/30懲戒解雇、被害額は本人・家族が弁済 | 行為・発覚・処分の中心は2022年。 | ニッキンONLINE報道 |
| 2023 | 富士宮信用金庫 | 元職員が顧客から預かった現金を着服。 | 着服約3,000万円、流用総額約5,000万円 | 2023/3/30懲戒解雇、弁済、刑事告訴方針 | 預り金着服・流用。 | 静岡朝日テレビ LOOK報道 |
| 2023 | 足利小山信用金庫 | 元職員が顧客の定期積金・普通預金などから着服。 | 2,404万1,923円 | 公表・処分 | 預金・積金着服。 | 下野新聞デジタル報道 |
| 2024 | 鹿児島信用金庫 | 牧園支店の営業担当職員が、顧客の普通預金通帳を使ってATMで不正出金。 | 金額未確認 | 公表、逮捕公表 | 2024/2/14逮捕。 | 「当金庫職員による不祥事件及び逮捕について」 |
| 2024 | 愛媛信用金庫 | 石井支店の元職員が、顧客口座に関連してカードローンを不正利用し着服。 | 金額はPDF本文参照 | 2024/11/13懲戒解雇 | 公式PDFで確認。 | 愛媛信用金庫「不祥事件の発生について」PDF |
| 2024 | 但陽信用金庫 | 元職員が顧客・法人から集金した現金を着服。 | 約1,090万円 | 2024/11/18懲戒解雇、刑事告訴方針 | 個人12人・法人4社からの集金金着服と報道。 | 「不祥事件発生のお詫びについて」 |
| 2025 | 羽後信用金庫 | 東北財務局から業務改善命令。理由は主としてAML/CFT対応未了。 | ― | 行政処分(業務改善命令) | 内部管理・法令等遵守態勢の問題。 | 金融庁「羽後信用金庫に対する行政処分について」 |
| 2025 | 上田信用金庫 | 岩村田支店勤務だった元職員が、顧客のキャッシュカードを不正利用して現金を着服。 | 1,000万円 | 元職員は懲戒解雇済み、支店長級も処分対象 | 2020年行為の後日発覚+隠蔽という点で重要。 | SBC / NewsDig報道 / 整理記事(補助) |
| 2025 | 山梨信用金庫 | 元職員が高齢夫婦の定期預金などを解約・引き出して着服した疑いで書類送検。 | 約260万円 | 2024/12懲戒解雇、2025年に書類送検報道 | 報道で表面化した色合いが強い。 | 「不祥事件の発生について」 |
| 2025 | 長野信用金庫 | 元職員が集金業務で過大に集金した現金の返金をせず着服し、現金不足を自腹で立て替えて隠していた。 | 約20万円余 | 2025/9/30懲戒解雇 | 金額は小さいが、長期継続+立替隠蔽。 | 2025/12/24 不祥事件発生のお知らせ |
| 2026 | 静清信用金庫 | 営業担当職員が「金利の高い定期預金に切り替える」などと虚偽説明し、定期預金申込金等を着服。 | 累計約1億8,200万円 | 公表・弁済、2026/6に逮捕報道 | かなり大きい案件。 | 静岡第一テレビ系報道(livedoor転載) |
| 2026 | きのくに信用金庫 | 湯浅支店の元職員が顧客の定期預金証書を不正入手、口座を無断で解約、現金500万円を着服。 | 顧客14人分約7800万円 | 2026/8/17、和歌山県警有田湯浅署が元職員を詐欺容疑 | 2026/7/30、元男性職員(36)が顧客の金を着服していたと発表。 | 読売新聞オンライン |
横領、着服、顧客情報の持ち出し、無断で貸金庫を開ける事件など、「またか」と思うようなニュースが何度も報じられています。
もちろん、ほとんどの金融機関職員は真面目に仕事をしていると思います。
しかし、一部の職員による不祥事が繰り返されているのも事実です。
融資を受ける側として毎回感じる違和感
私は法人として銀行から融資を受ける際、金銭消費貸借契約(いわゆる「金消」)とあわせて、反社会的勢力ではないことの表明・確約書に署名・押印しています。
もちろん、この手続き自体を否定するつもりはありません。
金融機関が反社会的勢力との関係を遮断することは、社会的にも重要な役割だからです。
ただ、近年報じられている金融機関の不祥事を見るたびに、どうしても違和感を覚えます。
例えば、架空口座や不正な口座開設は、もともと特殊詐欺やマネーロンダリングなどで悪用される典型的な手口として知られています。
そのような犯罪を防ぐ立場にあるはずの金融機関で、架空口座の作成や顧客情報の不正利用、横領などの事件が発生しているのを見ると、「なぜ犯罪を防ぐ側で、このような事件が繰り返されるのだろう」と疑問を感じます。
企業には厳格なコンプライアンスや反社会的勢力との関係遮断を求める一方で、金融機関自身も、それに見合う高い倫理観と内部統制を維持する責任があります。
だからこそ、一部の役職員による不祥事であっても、「またか」と思わせるような事件が繰り返されている現状には、大きな危機感を覚えます。
金融機関の不祥事は、利用者にも影響する
金融機関で不祥事が起きると、内部管理の強化や審査体制の見直しが行われます。
それ自体は必要なことです。
しかし、その影響を受けるのは、真面目に事業をしている企業や個人です。
提出書類が増えたり、審査期間が長くなったり、追加説明を求められたりすることがあります。
一つひとつは小さな変化でも、積み重なれば融資を受ける側の負担は確実に増えていきます。
不祥事のコストは誰が負担しているのか
金融機関の不祥事は、職員個人の問題で終わりません。
内部監査の強化やシステム改修、再発防止策には多くのコストがかかります。
その結果、金融機関の業務負担は増え、利用者にも少なからず影響が及びます。
結局のところ、不祥事のコストを間接的に負担しているのは、預金者や融資先企業なのではないでしょうか。
罰則は十分なのだろうか
金融機関は、顧客から預かった大切なお金を扱う社会的責任の重い業種です。
だからこそ、不祥事が起きた際には「本当にこの処分で十分なのだろうか」と疑問を感じることがあります。
もちろん、個々の事案によって事情は異なります。
しかし、同じような不祥事が何年も繰り返されている現状を見ると、再発防止策や組織としての責任のあり方について、より厳しく問われてもよいのではないかと思います。
まとめ
金融機関は、企業活動や個人の生活を支える重要なインフラです。
だからこそ、高い倫理観と信頼性が求められます。
融資を受ける企業には厳格なコンプライアンスを求める一方で、金融機関自身にも同じ、あるいはそれ以上のコンプライアンスが求められるべきではないでしょうか。
利用者としては、「また同じような事件か」と思うニュースを、これ以上見たくないというのが率直な感想です。

