私が本格的に不動産投資を始めたのは、29歳のときだった。
当時、私はすでに法人(IT企業)を設立していた。
この法人格を使って銀行から融資を受け、不動産を買い進めていこうと考えていたのだが、現実はそう甘くなかった。
国金、今でいう日本政策金融公庫以外の金融機関には、ほぼすべて門前払いだった。※と言っても枚方信用金庫だけは融資してくれたが
今思えば当然かもしれない。
まだ実績も乏しく、年齢も若い。法人を作ったばかりの人間に、銀行が積極的にお金を貸してくれる時代ではなかった。
銀行に断られ、ノンバンクへ向かった
銀行から相手にされない以上、別の選択肢を探すしかない。
そこで利用したのが、ノンバンクだった。(闇金ではない)
三井住友ローン&ファイナンスから、金利3.9%で融資を受けることができた。
今の感覚だと、3.9%は高いと感じる人も多いかもしれない。
だが、当時の私にとっては十分に勝負できる条件だった。
なぜなら、その頃の築古ワンルームマンション投資は、利回り20%超の物件が珍しくなかったからだ。
表面利回りだけでなく、価格自体がかなり安かった。
そう考えると、3.9%という金利は決して高いものではなく、むしろ「使える資金」だった。
最初に買ったのは、中心部の築古ワンルーム
最初に購入したのは、市内中心部にある築古のワンルームマンションだった。
価格は480万円。
今振り返ると、なかなか大胆だったと思うが、私はこの物件をいきなり100万円値切ってみた。
つまり、
「480万円ではなく、380万円でどうですか」
と交渉したのである。
普通に考えれば、かなり無茶な指値だと思う。
ところが、これがすんなり通ってしまった。
本当に380万円で買えてしまったのである。
今思えばビギナーズラックのようなものだったのかもしれない。
だが、この最初の値引き交渉の成功が、私の築古ワンルーム投資の始まりだった。
1戸買うと、次の1戸が見えてくる
最初の1戸を買うと、不思議なもので次の1戸が見えてくる。
家賃はいくら取れるのか。
空室リスクはどれくらい見積もるか。
管理費と修繕積立金はいくらかかるのか。
固定資産税を引くと、手残りはいくら残るのか。
実際に1戸保有してみると、机上の計算ではなく、感覚として収益構造が分かってくる。
しかも当時は、まだ利回りの高い築古ワンルームが市場に残っていた。
私は買った不動産を担保に入れたり、共同担保にしたり、場合によってはバックファイナンスも使いながら、少しずつ物件を増やしていった。
今のように「融資が厳しい」「利回りが低い」「物件価格が高い」という環境とは、かなり違っていたと思う。
管理はプロに任せた
物件を増やしていくうえで、管理は自分で抱え込まず、不動産会社に任せた。
管理料は家賃の4%。
これを高いと感じる人もいるかもしれないが、私にとっては十分に安いコストだった。
入居者対応、家賃回収、退去時のやり取りなどを任せられるなら、4%で手間を外注できるのはむしろありがたい。
自分で全部やるよりも、私は「仕組みで回す」方を選んだ。
本業もある中で不動産を増やしていくには、その方が現実的だったからだ。
振り返ると、若さと相場に助けられていた
その後、アベノミクスの流れもあり、不動産価格は徐々に上昇していった。
今思えば、あの時期に買い進められたのは本当に大きかった。
物件価格が上がる局面に乗れたことは、投資家としてかなり恵まれていたと思う。
もちろん、当時はそんなことを冷静に分析していたわけではない。
ただ、「回る」と思ったものに対して、借りて、買って、また次を探す。そんなことをひたすら繰り返していた。
今振り返ると、あれは若かったからできたのだと思う。
融資を受けることにも、築古物件を買うことにも、今ほど慎重ではなかった。
その意味では、行動力があったというより、単に怖いもの知らずだったのかもしれない。
ただ、不動産投資は結局のところ、頭の中で考えているだけでは何も始まらない。
最初の1戸を買い、数字を見て、融資を受けて、実際に運営してみる。
その繰り返しの中でしか分からないことがある。
私にとって29歳の頃は、まさにそのスタート地点だった。
あの頃の経験が、今の不動産投資の土台になっている
24歳で買った自宅を貸し出した経験が、不動産投資の原点だとすれば、29歳で始めた築古ワンルーム投資は、私にとって「不動産を事業として拡大していく入口」だったと思う。
銀行に断られても、別の資金調達手段を探したこと。
最初の1戸で思い切って値引き交渉をしたこと。
管理を外注しながら、少しずつ戸数を増やしていったこと。
その一つひとつが、今の自分の不動産投資の土台になっている。
今は当時と比べると、物件価格も融資環境もずいぶん変わった。
同じやり方がそのまま通用するとは思っていない。
それでも、「まず1戸を持ってみる」「数字で考える」「資金調達まで含めて組み立てる」という不動産投資の基本は、今も昔も変わらないと思っている。
次回は、このあとさらに物件を増やしていく中で、どんな物件を選び、どうやって回していったのか、もう少し具体的に書いてみたい。

